数に強くなる

数に強くなる (岩波新書)

数に強くなる (岩波新書)

読むのにかかったのは3時間程度。深く考え込まず、数式のところで目がとまるといったこともなく、非常に読みやすい本だった。数学チックな話ではなく、数に意味を持たせて考えることを推奨する本。
特に納得だなと思ったのは、数を一人当たりに換算すると実感がつかみやすくなるということ。確かに世の中、大局的な数字が多い。
一人当たりと言って思いつくのは国内総生産。日本の国内総生産は世界第2位であり、今でも世界を引っ張る経済大国的な感じはする。ただ、実感としてはそんなに潤っているとは思わないというのが大勢のようで。それもそのはず、一人当たりの国内総生産は世界第22位にまで落ちる。驚くべきなのか、むしろ実感に合っているような気もする。

あとは、ドンブリ勘定、ざっくりの重要性。確かに世の中そんなに厳密な数は必要ないのかもしれない。特に、情報系や技術系の人間は小さな数字にうるさい。情報系なら数秒の処理時間の短縮に精を出したり、技術系なら数ミリの誤差を気にしながら設計をする。それはそれでよいとして、ビジネスや社会においてはそれほどの厳密性よりも、大きく即座に数で判断できる能力が必要だなと思った。

本書の中でも書いてあったのだが、この著者は「失敗学のすすめ」を書いた人のようだ。読もうとしていた本だったのだが、理系の人が書いているとは知らなかった。10万冊以上の大ベストセラーということなので、きっといい本なのだろう。